痛み止めの話

痛み止めのうち、最も有名な薬 アスピリンは、非ステロイド系抗炎症薬に属し、痛み止めや解熱剤として広く使用されています。古代エジプト人は、関節の赤みや痛みを和らげるためヤナギのエキスを使用していました。1700年代に、英国でヤナギの樹皮の粉末がマラリアの痛みと熱に効果があることが発見されました。その後、ドイツのバイエル社がこのヤナギの成分アセチルサリチル酸の合成に成功、バイエル、アスピリンの名で、またたく間に、リウマチ、頭痛、風邪から術後の痛みにまで世界中で使用されるようになったのです。なお、アスピリンはピリン系の薬ではありません。最近では、炎症を鎮めたり、痛み止めとしての効果以外に、抗血小板効果、すなわち脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ作用があることも分かり、その目的で使用される方が多いぐらいとなっています。アスピリン以後、イブプロフエン、インドメタシン、その他多くの薬が開発されました。これら薬の副作用のひとつが、胃の粘膜を荒らし、ひどい時には胃潰瘍を起こしたりする点で、たいてい胃薬と一緒に処方されるのはこのためです。

 

ジエネリック医薬品 (後発医薬品) とは          

最初に開発された薬(先発品)の特許が終わった後に別の会社が作った薬のことです。最近、「同じ薬が安く手に入る」と盛んに宣伝されています。本当にそうなのでしょうか。実際は、「先発品と同じ成分で,同じ効き目の薬」ではないという事実は報道されていません。患者さんの健康を預かる医療機関として、飲んで頂くものなので、「安かろう悪かろう」では、患者さんの信頼に答えられません。但し、安心なメーカーの品質が保証されたジエネリック薬については、お勧めしてゆくつもりです。しかし、安全の点から、安易なジエネリック薬品の使用には慎重にならざるを得ません。

 

ジエネリック薬品と先発品とは全く同じ薬ではなく、薬の効果や、副作用も同じではありません。ジエネリック薬品が先発品と同じなのは有効成分のみです。それ以外の安定化剤、吸収補助剤などは先発品と同じである必要はないので、違っている場合が多いのです。例えば、静岡県立大学薬学部の後発品についての調査では、ある薬では、服用した後の血液中の濃度は、先発品を100%とすると18%〜148%と大きな差が見られたと報告しています。血中濃度が18%ということは、なんと、先発品の5倍以上飲まないと同じ効果が得られないということです。 これが例えば、血圧の薬などでしたら大変なことになります。実際、後発品を使用したが効果がないので先発品に戻したというような事例も報告されています。

 

さらに注意が必要な点は、全く同じ薬ではないのに、先発品のような臨床試験や市販後調査を行う必要がなく、そもそも有効性や安全性のチエックがなされていないという点です。結局、薬の効果にしても、副作用にしても飲んでみないと分からないという点が最も心配な点です。先発品にはなかった副作用が多く、結局、先発品に戻したというような事例の報告もあります。

 

ジェネリックの会社には中小業者も多く、短期間のうちに、製造・販売を中止をするような無責任な会社もみられ、長く同じ薬を服薬していただけない場合もあります。また、副作用が起こった頃、会社自体が無くなってしまっているような場合もないとは言えません、またどこにでも常備されていれば良いのですが、販売ルートや配送体制に問題のあることも多く、必要な時に、必要な量の薬が手に入らないという場合も多いのです。

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