急いで医者へ行く頭痛

 

世の中で一番怖い頭痛はくも膜下出血による頭痛、それと気付かないでいると命にかかわる。

 

 くも膜下出血による頭痛の特徴は、なんと言っても「突然に起こる」ことです。とにかく、それまでどうもなかったのに、急に頭がドーンと痛くなります。

 

一般に、くも膜下出血の頭痛は、未だかって経験したことのないほど激しい頭痛だとか、バットで突然、頭をなぐられたようなひどい頭痛だとか表現されます。また、しばしば嘔吐を伴う特長があります。しかし、くも膜下出血でも軽い頭痛だけの場合も結構ありますし、軽ければ嘔吐を伴わない場合もあるのです。従って、頭痛がひどいとか、軽いとかだけで判断してしまうのは危険です。

 

結局、突然に起こった頭痛の場合、この頭痛は「絶対にくも膜下出血ではない」と分かるまで安心してはいけません。

 

そして、その頭痛が、もし「くも膜下出血」であったならば、続いて再出血が起こり、それで亡くなる方が多いのです。この再出血は初回出血後、24時間以内に多いというデータもあります。そこで、突然に頭痛が起こったならば、すぐに、たとえ夜中でも医者に行かなければなりません。

 

医者へ行かれたら、一般にCTスキャン検査が行われるでしょう。もし、「突然に起こった頭痛」で医療機関を受診した際に、「明日、検査出来るように予約しておきましょう」などと言われたならば、「くも膜下出血が心配なので、すぐに検査して下さい」とおっしゃって下さい。

 

ここで問題なのが、医師の中でも、「くも膜下出血は、必ずCTスキャンに写る」と思っている方が多いことです。もちろん、CTスキャンに写っていれば、これはくも膜下出血に間違いありません。しかし、軽いくも膜下出血はCTスキャンに写らないことが結構あるのです。そのため、「CTスキャンが正常だから、くも膜下出血ではない」と診断されてしまうことが起こってしまいます。軽いくも膜下出血でも次に起こった時には、大出血となり命にかかわることもしばしばです。そこで、次に行われるのがルンバール検査(腰椎穿刺)で、腰のところから注射して、髄液という水を採取し、それに血液が混じっていないかどうかを調べるものです。あるいは、MRIを使って、MRA検査(脳の動脈の状態を写す検査)で脳の動脈にくも膜下出血の原因である脳動脈瘤(動脈のコブ)が出来ているかどうかを検査します。

 

片側のマブタが下がってきたらくも膜下出血の前ぶれ

 

片側のマブタが急に下がって、目がふさがってきた場合、動眼神経麻痺の疑いがあります。この症状は、近いうちに、くも膜下が起こるということを教えてくれているのです。そして、下がってきたマブタを持ち上げて、黒目の部分(瞳孔)を見て下さい。マブタが下がってきた方で瞳孔が、その反対側より大きくなっていれば(これを瞳孔不同と言います)、動眼神経が脳動脈瘤に圧迫されている疑いが、いっそう強くなります。

 

突然の頭痛とめまい 

 

突然に頭痛とめまいが起こった場合、小脳というところに脳出血(小脳出血)が起こっている可能性があります。この小脳出血は、大きくなりますと脳幹部という大事なところを圧迫しますので、命にかかわることがあります。なお小脳出血の原因のほとんどは高血圧なので、血圧の高い方に頭痛とめまいが起こった時は、いっそうその可能性が高くなります。

 

突然に片側の後頸(首)部から後頭部が痛くなってからめまいがした場合、椎骨動脈という動脈の解離性動脈瘤の場合があります。この解離性動脈瘤はワーレンベルグ症候群として良く知られた脳幹部〜小脳の脳梗塞を引き起こしたり、あるいは、動脈が破れてくも膜下出血を起こしたりします。なお、この部分の椎骨動脈は頸椎の中を通っていますので、急激な頭部の回旋運動、例えば、カイロプラステイク治療、交通事故、美容院でのシャンプー後(首を思い切り後ろに伸ばした場合)、首の回旋を伴う水泳、野球やゴルフ、フイットネススクールでの首の運動などに際して発病することがしばしばです。

 

頭を打ってから、しばらくして、だんだん頭が痛くなってきた時は、頭の中に内出血しているかもしれません(慢性硬膜下血腫

 

頭を打ってから、何ヶ月かしてから頭の中に出血してくることがあります。この場合、頭痛が起こって、これば日に日にひどくなってくる傾向があります。さらに、頭痛にくわえて、脳の圧迫症状、例えば、物忘れをするとか、歩くとフラフラするとか、あるいは片方の足が段差にひっかかるようになった。履いているスリッパが脱げ易くなった。つまずいてこけやすくなったなどと言う症状に気づいた場合、さらに可能性が高くなります。

 

 

 

 

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