ぎっくり腰

急激に起きた腰痛のことを「ぎっくり腰」と言い、重い物を持ち上げたり、体をひねったりした時によくみられます。急に起こった腰痛には、椎間板ヘルニアの場合、尿路結石など内臓の病気からくる場合、年配の方では骨粗しょう症で骨が弱くなっていて、自分の体重で腰の骨が折れてしまった場合(腰椎圧迫骨折)、あるいは、知らないうちに内臓に出来た癌が腰椎の骨に転移したせいて起こる場合などもあって、油断できません。

実際のところ、「ぎっくり腰」の原因うち一番多いものは、腰や骨盤を支える筋肉、筋膜、じん帯、軟骨などの軟部組織が傷ついて起こるものです。骨盤の仙骨と腸骨と言う2つの骨の間には、仙腸関節と言う関節があります。最近、「ぎっくり腰」の原因のうち、なかでも、この仙腸関節に付いている筋肉や靭帯などの軟部組織が傷ついて、そのせいで関節の隙間がわずかに開いてしまい、その結果、腸骨が後下方にズレたために起こる場合が多いと分かってきました。ではどうして仙腸関節に付着する軟部組織が傷ついて、腸骨がズレたりするのでしょうか?その原因には、骨盤を支える筋肉が弱くなってしまったせいでズレる場合もあります。あるいは、もともと仙腸関節の動きをスムーズにし、かつ体重を支えるため、その回りで軟部組織が働いています。ところが、その機能を維持するために必要な栄養分が不足し、そのせいで、仙腸関節を支持する力が落ちてしまった結果、腸骨が後下方にズレたりするのではないかと考えられています。

筋肉が弱くなる原因としては、骨盤や腰椎を支えている筋肉が、運動不足、あるいは疲労やストレスの蓄積により徐々に弱くなっていったり、あるいは交通事故や打撲・捻挫・スポーツのしすぎなどの影響で弱くなってゆくのではないかと考えられています。日々の生活で体にストレスが加わると、それに抵抗して副腎からホルモンが分泌されるのですが、そのホルモンを作るのにビタミンCが必要です。関節の栄養不足を起こす原因のひとつとして、もともと食生活などでビタミンCの摂取の少ない人の場合、普段の生活の際に受けるストレスとの戦いに体内のビタミンCが消費されてしまうせいで、仙腸関節の中のビタミンCが不足してくるのではないかと推測されています。その結果、仙腸関節の支持能力が低下してしまい、関節がズレてギックリ腰になってしまうという分けです。

ところで、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアにかかる人には、重労働の人は意外と少なく、デスクワーカーや車に長く乗る人に多いというデータがあります。例えば、イスに座りっぱなしだと、腰を支える筋肉内の血液の循環が悪くなってしまい、椎間板に負担がかかって、そのせいでヘルニアが起こり、神経が圧迫されて痛みが出てくることが多いのです。長時間イスに座りっ放しは、いちばん腰に良くありません。腰痛の予防には、時々イスから立ち上がり、軽く体を動かすことがお勧めです。

トップへ

inserted by FC2 system