硬膜動静脈奇形dural arteriovenous malformationAVM
とは?


 まず、正常な血管系について説明します。全身の組織は動脈から栄養を受けていて、その組織の中に入ってきた動脈は、そこで毛細血管に繋がっています。その後、この毛細血管は静脈となって組織から出てゆき、最後は心臓に戻って行くのです。   

動静脈奇形とは、これらの動脈と静脈との間に生まれつき毛細血管がなく、動脈から静脈に直接流れ込む形となった奇形のことを言います。そして動静脈奇形では、一般に入って来る動脈(流入動脈)と出てゆく静脈(流出静脈)との間に、正常な毛細血管ではなく、鳥の巣状のナイダスと呼ばれる組織があるのが普通です。

この動静脈奇形が脳に出来た時は、これを脳動静脈奇形と呼びます。脳動静脈奇形の症状としては、そのせいで「てんかん発作」を起こしたり、高い圧の動脈からの血液が直接静脈に流れることから、そこが破れて、脳出血やくも膜下出血を起こしたりします。

硬膜動静脈奇形とは、脳の表面を覆う硬膜と言う膜に血液を送り込んでいる硬膜動脈と言う動脈が流入動脈となった動静脈奇形のことを言います。この病気は4060歳ぐらいの方によく起こります。頭の中の静脈は最後に集まって静脈洞と呼ばれる太い静脈になって頭の外に出て、首を通って最後に心臓に帰って行くのですが、硬膜動静脈奇形は、この静脈洞の中でも横静脈洞〜S状静脈洞、および海綿静脈洞と呼ばれる部分を包む硬膜にしばしば起こります。脳動静脈奇形違って、硬膜動静脈奇形では、動脈と静脈の間にナイダスという異常な血管の塊りがありません。しかし、圧の高い動脈血が、直接静脈に流れ込むことは同じで、そのせいで静脈内の圧力が高くなって、頭痛や耳鳴を起こしたり、多くはありませんが出血が起こしたりすることがあります。

横静脈洞〜S状静脈洞部の硬膜動静脈奇形の症状には、頭痛、血管雑音、頭蓋内圧亢進(うつ血乳頭、視力障害)などがあり、海綿静脈洞部の硬膜動静脈奇形の症状には、眼球突出、結膜充血、血管雑音(これを三主徴と言います)が上げられます。

ページトップへ

inserted by FC2 system