脳静脈洞血栓症とは?

 脳の中を流れてきた血液は静脈を通って、最後は心臓に帰って行きます。頭の中で、その静脈が最後に集まってくるところに、静脈が太くなって親玉のようになった静脈洞(じょうみゃくどう)という特殊な構造をした部分があります。この部分は、頭の中から外へ出ていくすべての血液の通り道(出口)となっています。

脳静脈洞血栓症とは、この静脈洞を流れる血液が固まってしまい、血栓を形成し詰まってしまう病気です。静脈洞がつまってしまいますと、頭の中へ入って来た血液が頭の外に出て行きにくくなります。すると、頭の中の圧力が上がって(これを頭蓋内圧亢進と言います)頭痛や嘔吐が起こったり、また脳の静脈自体の圧力が上がって静脈性の脳梗塞を起こしたり、あるいは静脈の壁が破れて脳出血を起こしたり、さらに、けいれんなどを起こしてくることになります。頭の中にはいくつかの静脈洞がありますが、大脳表面を流れた血液の主な戻り道になり、頭頂部にあるのが上矢状静脈洞という静脈洞ですが、その静脈洞の血栓症が最も多く、次いで横静脈洞、海綿静脈洞の血栓症の順で多いと言われています。

脳静脈洞血栓症の原因としては、経口避妊薬やホルモン剤(乳癌の治療に使われるプロゲステロンなど)の使用、妊娠・出産に伴う血液凝固能の亢進、ベーチェット病やその他の血液凝固異常症などをあげることが出来ます。それ以外に、副鼻腔炎や中耳炎、乳突蜂巣炎などの炎症が静脈洞の方にひろがったため血栓を形成する場合もありますが、原因が分からない場合も、全体の2030%にあります。

発病は急激な経過をとるタイプと、数週間かけて次第に強くなる頭痛で発病するタイプとがあります。症状の中で一番多いものは頭痛で、全体の7090%の方に見られ、通常、進行性にひどくなってゆくことがほとんどです。そして、けいれん、悪心嘔吐、意識障害といった症状が見られます。それ以外に半身の麻痺(上矢状洞では下肢に強い麻痺)、耳痛(同じ側の横静脈洞血栓症)、眼の痛みや眼球運動障害(海綿静脈洞血栓症)、眼球の突出などの症状が見られることもあります。

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