慢性硬膜下血腫とは?

軽い頭部外傷の後、2週間〜3カ月ぐらい経ってから,頭の骨の内側にある硬膜(こうまく)と言われる厚い膜と、脳を包むクモ膜と言う膜の間の硬膜下腔(こうまくかくう)というところに血液が貯って、次第に脳を圧迫してくる病気を慢性硬膜下血腫と言います。

硬膜下腔に出た出血はしだいに被膜に包まれた血腫(けっしゅ)となり、その被膜から繰り返す出血によりゆっくりと増大するのではと言われています。慢性硬膜下血腫にかかった方の約70%に頭部外傷の既往がありますが、それが明らかでない方も約30%あります。頭を打った直後のCTで少量の硬膜下水腫(硬膜下腔に水が貯まっている)があった場合、あるいは硬膜下に少量の出血が見られた場合に、その後、本血腫に進むことが少なくないので、CTでこれらが見つかった場合は、本血腫の発生に注意しておく必要があります。そこで、しばらく時間を空けて、念のためCTなどで確認しておいた方が良いでしょう。なお、頭を打った中高年の方では、後に慢性硬膜下血腫の発生がないとは言えません。そのため頭痛などいつもと違った症状が出た場合は、この病気の可能性も考えてみる必要があります。

出血は約80%の方では片側に、20%の方では両側に認められます。アルコール多飲者、男性、また高齢者の方に多くみられます。

慢性硬膜下血腫の症状には、頭痛,認知障害(いわゆるボケ症状)、片麻痺、稀にけいれんなど様々なものがあり,そうと気付かずに放置していると死亡することもあります。特に年配の方では、年をとってボケでいるだけと勘違いされて手遅れになってしまうこともあります。あるいは急激に半身の麻痺で発病したりすることもありますが、この場合、脳卒中と間違われたりすることもあって、注意が必要です。

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