心臓の不整脈が原因で起こる脳梗塞

(心原性脳塞栓症)

 

 冬に多いタイプの脳梗塞、心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせん)とは心房細動(しんぼうさいどう)などの心臓の不整脈が原因となり、心臓や大動脈などにできた血栓(血液の塊)が?がれて脳の動脈の方に流れてゆき、脳の血管が突然に詰まって(閉塞)脳梗塞を起こす病気です。心房細動がある場合は、ない場合に比べて脳梗塞の発症率は約5倍に上るといわれます。心房細動が原因となる脳梗塞は、その他の原因による脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)よりも脳梗塞の範囲が広く重症となるケースが多いため、生命に関わるだけでなく、一命を取り留めても手足の麻痺など重篤な後遺症が残ること多いのです。また、心原性脳塞栓症はその他のタイプの脳梗塞と比べて5年生存率が極めて低いことが分かっています。この時期、ドウキがしたら心房細動など心配な不整脈が起こっていないかどうか心電図で調べましょう。

 

親、兄弟が脳卒中でした。私もかからないか心配です

 

 脳卒中のうち「くも膜下出血」には遺伝性があります。それは、くも膜下出血の原因のほとんどを占める脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)に遺伝性があるからです。脳動脈瘤とは頭の動脈にできた小さな血管のコブのことです。これが破れて出血するとくも幕下出血を起こします。親兄弟が「くも膜下出血」かかった方では、一度は知らないうちに脳動脈瘤が出来ていないかどうかを、MRA検査などで調べておいた方が良いでしょう。

 

 脳出血、脳梗塞などの脳卒中では、その原因となる危険因子(リスクファクター)、すなわち高血圧や高脂血症、あるいは糖尿病に遺伝性があり、そのせいで脳出血や脳梗塞にかかる可能性がないとは言えません。

 

脳出血の原因は高血圧ですが、高血圧には遺伝性があります。そこで親兄弟が脳出血にかかった方では、定期的に血圧を測定し、高い場合には、血圧の薬などで血圧を正常にコントロールしておけば、脳出血にかかるのを防ぐことができます。

 

 脳梗塞の危険因子には、高血圧、高脂質血症(血液中のコレステロールが高い)、糖尿病があります。この3つの危険因子には遺伝性があることがあります。すなわち血圧が高い、血液中のコレステロールが高い、血糖が高ければ、それをお薬などで正常に保つようにすれば、脳梗塞にかかるのを防ぐことができます。

 

なお、血圧が高くても、血液中のコレステロールが高くても、あるいは血糖が高くても、普段は症状といったものがありません。そこで、これらの危険因子はサイレントキラー(静かに忍び寄る殺人者)とも言われ、かかっていても血圧を測ったり、血液検査をして調べない限りは、それと気づかず、手遅れになってしまうことが多いのです。つまり、積極的に健康診断などを受け、血圧、コレステロール、血糖のチエックを怠らないことが大切です。

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