物が二重に見えます(複視 ふくし)

 

見ているものが二重に見えたり、ダブって見えることを複視(ふくし)と言います。

 

上を見たり、横を見たりする際、両方の眼球が一瞬で同じ方向を向くのでひとつに見えるのですが、その際、3つの神経が働いて、眼球の回りにある筋肉を動かしています。この3つの神経とは動眼(どうがん)神経、滑車(かっしゃ)神経、外転(がいてん)神経の3つです。このうち、どれかの神経の働きが悪くなると、左右の眼球の動きのバランスが悪くなり視線がずれて、物が二重にダブって見えるようになります。

 

今回は一番多い動眼神経麻痺について説明します。動眼神経が麻痺すると眼球の回りにある上直筋、下直筋、そして内側直筋という眼球を動かす筋肉の動きが悪くなって複視が出現します。このほか、上眼瞼挙筋というマブタを上げる筋肉の働きも悪くなって、マブタが下がる眼瞼下垂(がんけんかすい)が起こります。それ以外に瞳孔(どうこう)を収縮させる神経も、この動眼神経の中を走っていますので、瞳孔がひろがる瞳孔散大(どうこうさんだい)が起こることもあります。

  動眼神経の麻痺で最も注意が必要な場合は、脳動脈瘤によるものです。たいてい眼瞼下垂で気づかれます。これはクモ膜下出血を起こす「前ぶれ」ですので、急いで医師の診察を受ける必要があります。なぜなら、くも膜下出血を起こすと命にかかわるからです。それ以外に糖尿病などが原因の場合もありますが、この場合は、瞳孔が侵されないという特徴があって、たいていは3ヶ月ぐらいの治療で治ります。

 

手のふるえ

 

 自分で動かそうとしていないのに体の一部が勝手に「ふるえる」ことを「振戦(しんせん)」といいます。

 

振戦が起こるようになると、コップで水を飲もうとして、あるいはハシで食事をする際、文字を書く際に手が「ふるえて」うまく出来なくなったりします。

 

振戦の原因で多い病気は、本態性(ほんたいせい)振戦です。本態性振戦は多くの場合、加齢によって次第に目立ってくることが多く、振戦は、主に何かの動作をするときに現れます(動作時振戦)。

 

 同じく振戦が出る病気にパーキンソン病がありますが、こちらは主に安静にしているとき片側の手が「ふるえる」のが特徴で、それ以外に、歩くときに足がすくんでしまう、歩幅が短くなって(小刻み歩行)、前に倒れやすく(前方突進歩行)なるといった違いがあります。それ以外に、甲状腺の病気で甲状腺ホルモンが出すぎて起こることもあります。

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