寒い日は頭の血管が切れるかも

ー高血圧の方は脳出血に注意―

 

脳卒中が冬に増える原因は、気温と関係がある

 

気温が低いと人間の末梢(まっしょう)血管は収縮して血圧が高くなりやすい。頭の血管が切れて起こる脳出血は、血圧の急激な上昇で起こるとされ、普段から血圧の高い人は、屋内と屋外で寒暖の差が激しくなりやすい冬は要注意である。

 

脳卒中は、脳の血管に起こる三つの病気の総称である。その三つとは、血管が詰まって起こる脳梗塞、血管が破れて起こる脳出血、そして、くも膜下出血である。脳出血とは、脳の血管が破れて出血し、出来た血液の塊が脳細胞を圧迫して壊してしまうことで、突然に頭痛、運動麻痺や言葉の障害、意識が悪くなるなどさまざまな症状が起こることになる。

 

脳出血は日本の国民病

 

脳卒中は、がん、心臓病とともに日本人の3大死因とされてきたが、2012年に肺炎による死亡が脳卒中を上回り、現在は日本人の死因の第4位となっている。

 

脳卒中による死亡の内訳をみると、1960年代初頭は、脳卒中死亡の大部分が脳出血であったが、1970年頃から、急激にその割合が減っているのが分かる。

この大きな変化はなぜなのか?

脳出血の大部分は高血圧が原因である。かっての日本には重症の高血圧の方がたくさんいた。漬け物、干物、みそやしょうゆといった調味料などからたくさんの塩分を摂取していたことも原因のひとつ。一方、効果的な高血圧の治療薬(降圧薬)はまだなかった。その後、脳卒中の予防に高血圧の治療が重要であることが分かった。そこで塩分を取りすぎないよう指導されるようになったり、効果の大きい降圧薬が広く用いられるようになった。

 

血圧が高くても普段、症状なないが、健診の普及で高血圧の早期発見が可能になり、高血圧が見付かった場合、国民皆保険制度で長期間の治療を受けることができるようになったことも大きな理由である。こうして高血圧がうまくコントロールされるようになり、さらに病院での脳卒中治療技術が進歩したことも相まって、脳出血による死亡が年々減ってきたと考えられる。

 

脳出血 ―高血圧が最大の原因― 

 

血圧が高いままほうっておくと、脳の血管に負担がかかり続け、細い動脈の壁が傷んで血管壊死という状態になり、ついには破れて血管の外、つまり脳の中に出血することになる。また高血圧は動脈硬化の原因となり、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患の原因の一つでもある。高血圧は生活習慣病、つまり塩分の取りすぎや偏食、喫煙、飲酒、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣が原因となりやすい。すなわち生活習慣をうまく改善し、必要な場合は、躊躇することなく血圧の薬でコントロールするこが脳出血予防の唯一のポイントである。

 

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