高齢化で増えるパーキンソン病、高齢者では100人に1人が発病、今やめずらしい病気ではなくなってきている

 

パーキンソン病は神経伝達物質の一つである脳内ドーパミンが減少する事により、ゆっくりと進行する神経変性疾患です。多くは40歳から50歳以降に発症し、患者数は1000人当たり11.5人と言われ、国内では2014年時点で16万人いると推計されています。ただし70歳以上の高齢者での有病率は約1%と高く、高齢者では決して珍しい病気ではなくなってきており、今後の高齢化の進展で患者さんが益々増えると懸念されています。

 

パーキンソン病を疑うべき症状


 パーキンソン病では神経伝達物質のドーパミンが減少します。ドーパミンは、運動調節、認知機能、ホルモン調節、感情・意欲・学習などにかかわると言われ、減少するとさまざまな症状が表れます。

 

パーキンソン病の初期症状としては、「手のふるえ(振戦)」や「歩きにくさ」など、主に運動に関係した症状で見つかることが知られています。初期の典型的な症状としては、じっとしている時に片側の手足がふるえる。前かがみで歩く。歩き出すときの最初の1歩がうまく踏み出せない(すくみ足)。歩行中の歩幅が小さくなる(小刻み歩行)。歩行のスピードがどんどん加速するが、自らの意志では歩行を止められない(前方突進歩行)。小声になる。体に柔軟性がなくなるなどが挙げられます。

 

非典型的な初期症状

 

最近、これら運動に異常が現れるかなり前から、以下のような症状を訴えておられ、後にパーキンソン病と診断される方が多かったことが分かってきました。

(1)体中がふるえているように感じる
(2)レム睡眠障害
(3)起立性低血圧
(4)便秘
(5)嗅覚の低下

(1)は「患者さん自身がそのように感じる」ということです。自分自身で手を観察しても、医師の目から客観的に観察しても、ふるえがあるとは思えない状態がほとんどです。
(2)睡眠中の行動異常は、突然悪夢を見るようになる。睡眠中に大声で暴言のような寝言を言う。手足をバタバタさせ、時にはそばで寝ている家族をたたいたり蹴とばしたりする。
(3)は立ち上がった時にめまいやふらつきが起こり、時には失神を起こすこともあります。
(4)頑固な便秘が続く。もちろん便秘がちな人すべてが、パーキンソン病になるわけではありませんが、50歳代から70歳ぐらいまでの男性で、その後パーキンソン病になる人は34倍といった報告もあります。

5)、「匂い」の低下も注目されています。「匂いがわかりにくくなる」と訴える人は少ないのですが、「食事がおいしくない」や「味がにぶった」と訴えるお年寄がいます。お年寄りは匂いの問題を、食事がおいしくないとか、味がにぶったとして感じ表現するようです。

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