夏かぜ

 

「夏かぜ」と聞くと単純に「夏に引く風邪」だと思う方が多いようです。かぜの8090パーセントはウイルス感染が原因で起こりますが、そのウイルスの数は200種類以上あります。多くのウイルスは寒く乾燥した環境を好むため、冬に「かぜ」やインフルエンザが流行するのですが、なかには暑くて湿度が高い夏の環境を好むウイルスもいるのです。それがエンテロウイルス(コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど)やアデノウイルスで、胃腸障害を伴うことが多い「夏かぜ」の原因となるウイルスです。

 

すなわち夏風邪は、冬とは違ったウイルスが原因で、症状も大きく異なります。そんな夏風邪の代表が、「プール熱」 と「手足口病」です。プール熱は、正式には咽頭結膜熱と言い、プールの水を媒介して感染することから「プール熱」と呼ばれますが、冬風邪と同じように咳やくしゃみからも感染します。アデノウイルスが原因の病気で、感染力が非常に強く、口や鼻、喉、目の結膜から体内に入り、3839度の高熱が35日間続き、強い喉の痛み、結膜炎を伴います。手足口病はコクサッキーウイルスやエンテロウイルス類が原因で起こる病気です。 乳幼児を中心に流行し、手や足、口のまわりに水ぶくれのような湿疹が現れます。

 

夏に熱や咳が出る、風邪のような症状を毎年繰り返すようなら、夏型過敏性肺炎(夏型肺炎)かもしれません。

カビの一種「トリコスポロン」が原因

 

 身の回りの“ちり”や“ほこり”を繰り返し吸い込んでいるうちに、これらの物質にアレルギー反応を起こすことがあります。このようなアレルギーによる肺炎を「過敏性肺炎」と言います。夏型肺炎の原因は、室内のカビの一種である「トリコスポロン」。この胞子は極めて小さいため飛散しやすく、肺の奥深くまで吸い込まれやすいのです。夏型肺炎の症状は、発熱、咳、呼吸困難など、風邪の症状とよく似ていて、見過ごされやすいのですが、自宅を離れると自然と症状が治まってしまったりします。例えば、旅行などで自宅以外の場所で数日間滞在すると、咳はほとんど出ません。ところが、自宅に戻ったら、また症状が出るようになります。

 

エアコン内部に注意

 

 トリコスポロンは高温多湿、すなわち温度が20℃以上、湿度が60%以上になると活動を始め、胞子をたくさん飛ばします。増殖しやすい場所は古くなった木や畳、カーペットなどですが、最近では、マンションの気密性の高さが、カビの繁殖に適した室内環境をつくる要因となっているようです。なかでも注意したいのが、エアコンの内部。トリコスポロンの繁殖場所となることがあるようです。

 

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