長引く咳、しっこい咳、何の咳?

 

長引く咳のうち、出はじめの頃の原因としては感染症が多く、最近はマイコプラズマ感染症や百日咳、クラミジア感染なども注目されています。

 

咳が4週間以上続く場合、結核や肺癌、間質性肺炎などのチエックのため胸部レントゲン撮影を受けておいたほうが良いでしょう。それ以外の原因として、@ 胃液の食道への逆流による刺激で起こる胃食道逆流症、A 副鼻腔炎により鼻汁が気管に流れこむ後鼻漏によっておこる副鼻腔気管支症候群もあります。

また、「かぜ」は治ったはずなのに、咳がちっとも治まらない、そんな状態が続く場合は咳喘息やアトピー咳嗽かも知れません。

 

 咳喘息は、一カ月以上、空咳(からぜき)が続く気管支の病気です。アレルギー反応によって、気道が炎症を起こすため、夜中から明け方に激しい咳が出たり、室内外の温度差や、たばこの煙、運動、飲酒、ストレスなどのほか、ホコリやダニなどのいわゆるハウスダストが原因になると言われます。普通の喘息と同様、気道(呼吸をするときに空気の通る道)が狭くなり、いろいろな刺激に対して過敏になって、炎症や咳の発作が起こります。ただし、喘息に見られるゼイゼイ、ヒューヒューといった喘鳴(ぜいめい)や呼吸困難は起こりません。また、発熱や痰(たん)などの症状はほとんど出ません。咳喘息は、喘息の前段階ともいわれます。咳喘息を放置すると、本格的な喘息に移行することがあるので、その前に正しい治療を受けることが大切です。

 

アトピー咳嗽は、アレルギーの関与により気道にある「咳の神経」が敏感(過敏)になることが原因で起こります。すなわち咳をするための感度が亢進しすぎて、ちょっとしたことで咳をしてしまうのです。いつも同じ時期に咳が出るとか、ほかにアトピー性皮膚炎や花粉症をお持ちの場合には、アトピー咳嗽である可能性が高くなります。咳喘息との違いは、喘息の代表的な治療薬である気管支拡張薬は効かず、抗ヒスタミン作用を有する薬剤、いわゆる抗アレルギー薬の効果がみられることです。治療に際し、吸入ステロイド薬が併用されることも少なくありません。なお喘息に移行することはありません。

 

抗生物質は風邪に効くか?

 

風邪の原因の約90%以上はウイルスが原因です。細菌を殺すための薬である抗生物質はウイルスには全く効果がありません。ところで、もともと体の中には、いろいろなタイプの細菌が住んでいます。これを常在細菌叢といい、いろいろな感染から体を守ってくれています。例えば、お腹の中にいる乳酸菌などがそれです。

 

抗生物質は体の外から侵入して感染症を起こす細菌を殺す作用もありますが、良いところばかりではなく、大切な常在細菌叢にも殺菌作用を及ぼし、細菌感染などから身を守る抵抗力を奪う場合もあります。風邪を引いて常在細菌叢がウイルスと戦っている時、その大事な善玉菌を抗生物質で殺してしまうのは考え物です。

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