脳梗塞の予防法

 

現在、脳梗塞は脳卒中全体の約8割を占め、主に3つのタイプがある。

 

1、 アテローム血栓性脳梗塞、動脈硬化すなわち粥状硬化(アテローム硬化)により脳の太い血管(皮質枝)が詰るもの。危険因子は高脂血症(血液中のコレステロールが高い)、糖尿病など

2、 ラクナ梗塞、すなわち皮質枝から出る細い血管(穿通枝)が詰まるもの。危険因子は高血圧。

3、 心房細動などの心疾患(不整脈)が原因で、心臓内に生じた血栓(塞栓)が血流に乗って運ばれ、脳の血管が詰まる心原性脳塞栓症。

 

1970年頃までは、高血圧が危険因子であるラクナ梗塞が脳梗塞全体の約80%を占めていた。しかし1970年代に入ってからその比率は次第に減少し、現在は40%程度になっている。この変化には、過去40年間に起こった脳梗塞に関する危険因子の変化が関係している。ラクナ梗塞の最大の危険因子は高血圧であるが、その減少には降圧(血圧を下げる)治療の普及が関与している。一方、アテローム血栓性脳梗塞の発症には、食生活の西洋化による脂質代謝異常(高コレステロール血症)や糖尿病が関与しているが、その増加を受け、頻度は同じ期間に15%から33%へと倍増した。また、心原性脳塞栓症の頻度も高齢化を反映し、6%から26%に増えている。

 

脳梗塞にかからないため、どうすれば良いか

 

油断大敵―高血圧、高脂血症、糖尿病、不整脈

 

血圧が高くても、血糖が高くても、コレステロールが高くても普段、症状がないことに注意

 

高血圧は脳卒中の最大の危険因子。血圧が高い人ほど脳梗塞の発症率が高くなる。血圧を下げることは最も効果的な脳卒中の予防法となる。普通、血圧が高くても痛くも痒くもない、そこで血圧が上がっていても、それと気づかないことが多い。また、たとえ高いことに気付いても治療を受ける気になりにくい。しかし高血圧はサイレントキラー(静かなる殺人者)とも呼ばれ、それを放置していると、次第に血管が蝕まれ、動脈硬化が進んで、ある日、突然、血管が詰まって脳梗塞を起こしたり、血管の壁が脆くなって破れて脳出血を起こしたりすることになる。普段から家庭で血圧を測る習慣をつけることが大切。

 

糖尿病は、高血圧に次ぐ第2の危険因子であり、脳梗塞が起こる危険性が23倍も高くなる。

 

高脂血症は動脈硬化の危険因子であり、脳梗塞の原因としての動脈硬化性病変の重要性が指摘されている。

 

ドウキ(動悸)がしたら、すぐに病院へ。全脳梗塞の1020%に心房細動が認められる。一方、心房細動は、60歳以上の年齢層では24%に認められ、年齢とともにその頻度が大幅に増加してゆく。

 

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