認知機能の低下をいち早く知るには

 

認知機能の低下は、言葉や振る舞いだけでは分らないことが多い

 

認知症の初期では、普段の会話のやりとりのみで、それと気づくことは容易ではありません。認知機能が低下してきた場合でも、一見、普通の高齢の方と変わりがないからです。言葉、振る舞いは問題がない上に,認知症の特徴として、話を取り繕ったり,自分に都合のよいように話を適当に埋め合わせたりすること(作話)がよくあるから、ダマされてしまうのです。たとえば、一人暮らしの高齢の方のご家族が、時々、様子をみに行っているだけでは分らないことが多いのは、このためです。

 

しかし、認知機能が徐々に低下してくるにつれ、普通に暮らしているように見えても、買物,献立,洗濯,炊事,電話,金銭管理などの能力に障害が出てきますので、これに早く気付くことが大切です。「何かおかしいな」「あれっ? 認知症では?」と感じることがきっかけとなります。

 

認知機能低下を早期に把握するためのヒント

 

今までと違って、怒りっぽくなった,だらしなくなった、整理整頓が出来なくなった、意欲がなくなり、身だしなみに気をつかわなくなった、趣味にも興味を示さなくなった、しばしば不安感を訴えるなどの症状は初期によくみられます。

 

金銭管理や服薬管理ができなくなってきた

 

気が付くと、サイフの中に小銭が貯まっている。買い物でお釣りの計算ができなくなるので、お札での支払いが増え、小銭が貯まるようになります。薬を決められたとおり飲むことが出来なくなって余ってしまい、飲んでいない薬をため込んでいる。あるいは、きちっと飲んでいるはずなのに、薬をどこかにしまい忘れて、次の受診日までになくなってしまう。物をしまった場所や置いた場所を忘れることが増え、いつも探し物をしている。たとえばサイフ、通帳、印鑑、家の鍵などがキチンと管理できているのかどうかも参考になります。

 

今までできていたことが、うまく出来なくなってきた

 

「物事を段取り立てて行えなくなってくること」ことも参考になります。ものごとを計画し、順序だてて実行する機能のことを遂行機能と言います。すると仕事や家事などの「段取り」が悪くなってしまいます。たとえば料理などの複雑な作業がきちんとできなくなってきたり、テレビやエアコンのリモコンなど家電製品がうまく使えなくなってきたりします。

 

回転が苦手になる

 

ドアノブを回せない、びんやペットボトルのフタを回せない。靴ひもを結べない。これは身体と周囲の位置関係を理解する働き、「視空間認知機能」の低下によって起こるのです。

 

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