顔面のしびれや痛み

 

 顔面の感覚は3本の枝を持つ三叉神経が司っています。この三叉神経の3番目の枝である第3枝(オトガイ神経)の経路のどこかに障害が起こると、頤部(おとがい)および下口唇に限局したしびれなどの感覚異常(頤しびれ症候群)が起こります。脳幹部にある三叉神経核の血流が悪くなると片側の口唇の外側が短時間、しびれたりすることがあって、これは脳梗塞の前触れのことがありますので注意しましょう。なお狭心症などの心疾患でも頤がしびれることがあります。

 

手と口が同時にしびれると、脳卒中?

 

脳から全身へ指令を出す中継地点が「視床」です。この視床の中の感覚を司る領域では広い部分を「手」と「口」が占めています。この視床で出血や梗塞(こうそく)が起こると、手と口が同時にしびれることが多いのです。この症状は、手口感覚症候群と呼ばれています。

 

 頤(あご)しびれ症候群(Numb chin症候群)

頤(あご)の「しびれ」は、オトガイ神経への悪性腫瘍の転移や浸潤による場合があり注意が必要です。乳癌、肺癌、前立腺癌、多発性骨髄腫が多いといわれ悪性腫瘍の有無を検査する必要があります。またオトガイ神経の圧迫につながる顎骨髄浸潤は、悪性血液疾患によることもあって、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病および多発性骨髄腫などの例が報告されています。

 

三叉神経痛

 

中年以降の女性に多く、数秒から数十秒、うずくまるほどの耐えられない電撃痛が、一日に何度も片側の顔面におこる病気です。洗顔、歯磨き、食事などの刺激で誘発されます。痛みと痛みの間は全く痛まないのが特徴ですが、トリガーポイントといわれる特定の部分を圧迫すると痛みが誘発されます。この痛みはあまりにも激烈なため生活の質が極端に落ちてしまい、通常の生活が送れなくなってしまいます。

 

非定型顔面痛

 

顔面の「うずくような」「締めつけられるような」つらい痛みに悩まされて生活に支障をきたす病気ですが、まだ原因が分かっていません。これを「非定型顔面痛」と呼んでいます。画像診断を行なっても脳内や耳鼻科、眼科、歯科領域に異常がなく、原因が特定できず、患者さんは複数の診療科を転々としているのが実情です。

痛みの特徴は神経の走行に沿った発作性の激痛ではなく、持続的な不快な痛みに悩まされます。自律神経や血管が支配する領域におこるため、流涙や顔面紅潮、鼻づまりなどの自律神経症状を伴うケースも見られます。この病気はメンタル面に問題を抱えている方に起こりやすい特徴があります。うつ病、心気神経症、抑うつ傾向、ヒステリー傾向、自律神経失調症などを持っている方に多く、感情の変化で痛みが誘発されることもあり、このような心因性の要素が関与していることは分かっています

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