冬場はヒートショックなどにより 脳卒中のリスクが高まる

 

寒さの厳しい季節は、脳卒中が増える時期です。冷たい空気に交感神経が刺激され、血管が収縮し、血圧が上昇するからです。さらに屋内と屋外などの温度差 による急激な血圧の変動(ヒートショック)で、脳の血管に負担 がかかり、脳卒中のリスクが高まります。

 

また低温の環境では、血液の粘度が増え血流が滞りがちになることから、脳梗塞の危険が上昇します。たとえば室温が4℃下がると脳卒中死亡の危険が5%増えるそうです。冬の脳卒中を防ぐには、なるべく暖かい環境で過ごすことが大切です。

 

脳卒中と早朝高血圧

 

とくに問題となるのは、朝の血圧が特に高くなる早朝高血圧です。中でも、朝の血圧が急激に上がる「モーニングサージ」タイプの人は、脳卒中の危険性が高いことが分ってきました。自分が「モーニングサージ」タイプかどうかは、家庭で血圧を測定することで、ある程度知ることができます。夜寝る前に静かにした状態で血圧(収縮期血圧)を測定し、翌朝目を覚ましたとき、動き出す前の血圧を測定します。これを数日間くり返し、その平均値から夜と朝の差をみて、血圧の差が55mmHg以上ある状態をいいます。

 

早朝高血圧が原因の脳卒中は、とくに起床後12時間が最も危険な時間帯です。起きたあとすぐにあわただしく動いたりしないこと、またトイレや洗面所などの寒い場所に行くときはカーディガンを羽織ったり、厚手の靴下をはいて暖かくするようにして、少しでも血圧の上昇を抑えるように心がけましょう。

 

体が脱水状態にあると、血液が濃くなって流れが滞ったり、血栓が出来やすくなります。「冬の脳梗塞でよくあるのが、お酒を飲んだあと、熱いお風呂に入って、発作を起こすケースです。お酒には利尿作用があるので、飲んだ以上に体の水分が失われがちになります。またお酒を飲むと血管は拡張し、血圧は下がります。そのあと熱いお風呂に入ると、入った直後は一旦、血圧は上がるのですが、その後、普段より下がってしまい、また入浴時の発汗によって脱水状態になりがちです。すなわち脱水と低血圧が重なって、脳梗塞を起こしやすくなるのです。

 

動悸に注意、不整脈が原因で起こる脳梗塞は冬に多い

 

心房細動という不整脈が起こると心臓の中に血液の塊が出来やすくなります。この血液の塊りが脳の血管の方に流れて行くと、脳の血管が詰まってしまい、心源性脳塞栓症というタイプの脳梗塞が起こります。それ以外の高血圧や動脈硬化が原因で起こる脳梗塞のことを非心原性脳梗塞と言います。国立循環器病研究センター脳血管部門長の豊田一則氏は,同センターの入院患者を対象とした研究から,脳梗塞のうち心原性脳塞栓症(630例)は冬が28.7%と多く,非心原性脳梗塞(1,165例)は夏が27.3%と最も多い傾向が認められたと報告しました。

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