薬飲は水で飲みましょう

 

薬をビールで飲んだらダメなの? 

本当に薬は水で飲まないといけないのか?

 

いろいろな科学論文を探しても答えが見つからなかった。そこで摂南大薬学部の学生が、薬は水でという常識が正しいのかを調べる実験を行い、調べることにした。きっかけは同学部6年の山田さんの疑問だった。ある年の正月、伯父が風邪薬をビールで飲んでいた。「お酒で飲まん方がいいんちゃう」と言ったが、その根拠を説明できなかった。

 山田さんは、卒論のテーマを決める際、医薬品の適正使用についての研究を行っている「医療薬学研究室」を選んだ。そして、この時の疑問を思い出した。「先生、薬をビールで飲んだらなぜダメなんですか」。指導教官の小森講師も十分な根拠が示せない。たとえば、ある種の薬とグレープフルーツの組み合わせは悪影響があるなどは知られていたが、薬の飲み方とアルコールの関係を検証した論文は見つからなかった。

 

そこで実験を始めた。薬は、痛み止めとしてよく使われるイブプロフェンを選んだ。マウスに飲ませ薬の血中濃度を測ると、ビールと日本酒とはほぼ同じ値を示し、濃度がピークとなる30分後で水の3分の2程度に抑えられていた。すなわち、薬をアルコールで飲むと血中濃度低いまま、薬の効きが悪くなる。すなわち薬はやはり水で飲んだ方が良いということが分った。

 

経口補水液(ポカリスエットとOS-1

 

下痢をしたり、熱中症で脱水になった際、病院へ行かなくても、手軽に口から水分や電解質を補給できるためよく使われるのが「経口補水液」です。たとえば大塚製薬工場の「OS-1」、大塚製薬の「ポカリスエット」があります。経口補水液の起源は、コレラなどの感染症に対処するため発展途上国で成功した「経口補水療法」にあります。口から水分や電解質を補給する方法で1970年代に発展途上国で有効性と安全性が確認され、先進国に「逆輸入」されました。

ポカリとOS-1。どちらも点滴に関係した商品ですが、違いはどこにあるのでしょうか?

 ポカリスエットは、清涼飲料として日常生活の中で発汗などにより失われる水分と電解質を速やかに補給する飲料として開発されました。なので、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質は、汗の成分に近い組成となっています。水分や塩分の吸収については糖質が重要な働きを持っています。ポカリスエットはおいしく飲める味となるような分量で糖質が配合されています。一方、OS-1は経口補水液なので、それよりも電解質濃度が高く、糖質濃度が低く設定されています。

 健康な状態で発汗したときにはポカリスエットを、一方、軽度から中等度の脱水状態の方の水分や電解質を補給するには、すなわち感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐(おうと)・発熱を伴う脱水状態、高齢者の食事量不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態の際にはOS-1を飲まれるのが良いでしょう。

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