ゴルフ頭痛 ―椎骨動脈解離―

 動脈の壁は、内側から外側にかけて、内膜、中膜、外膜の三つの層から出来ています。動脈の壁が破れて、動脈内を走る血液がこの壁の中に入り、動脈の壁が層と層との間で裂けてしまった状態を動脈解離と言います。

 

それには二つのタイプがあります。まず、内膜と中膜との間が裂けて、その間に入った血液が、裂けた内膜を内腔側に向かって膨らませてしまう場合です。すると、その部分の動脈は狭くなって、ひどい時には狭くなった部分が詰まってしまうこともあります。その結果、血液が流れなくなって、脳梗塞を引き起こしたりします。

 

もうひとつのタイプは、中膜と外膜との間が裂けて、その間に血液が入った場合で、外膜が動脈の外側に向かって膨らんで動脈瘤(血管のコブ)のようになり、ひどい時にはこれが破れてくも膜下出血が起こることがあります。

 

この解離性脳動脈瘤は、脳の動脈の中でも椎骨動脈〜脳底動脈と言う動脈に発生することが多く、発病の平均年齢は40歳代で、男性に多いという特徴があります。そこで、年令の若い世代に起こった脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中の場合、この病気を考えることになります。

 

発病の原因、すなわち動脈が裂ける原因としては、頚部で頚椎の中を走行する椎骨動脈に対しカイロプラクティックや頸部の捻転を伴う様々なスポーツ(ゴルフのスイングなど)や運動などにより軽微な外傷が加わったためと考えられるもの(外傷性)が多いのですが、明らかな原因が不明の特発性(非外傷性)のものもあります。

 

椎骨脳底動脈の解離性動脈瘤は、脳梗塞やくも膜下出血といった症状が出現する前に、突然に起こる片側の項部(うなじ)や後頭部の痛みが出現することが多く、これが76%の例に見られたという報告もあります。これは動脈の壁が裂かれて解離するときに感じる痛みであろうと考えられています。それに続いて脳梗塞やくも膜下出血が起こるのです。そこで、急に起こったひどい項部痛や後頭部の痛みがあれば、この病気を疑う必要があり、その場合、頸部〜頭蓋内の椎骨動脈のMRA検査を実施するのが普通です。

 

心房細動と言われました(心臓が原因の脳梗塞)

 

心房細動は不整脈のひとつで心房が細かく速く動く病気です。心房細動になると脈はまったくバラパラになり、動悸がしたり、息苦しくなって、時にはめまいや胸痛などの症状が出る場合があります。ただ、まったく症状のない方もいます。

 

心房細動時には血液がよどみ、血栓(血液の固まり)ができ、それが頭に飛んでいって血管が詰まり脳梗塞になることがあります。そのため心房細動に対しては、脳梗塞を予防する目的で、血液を固まりにくくして血栓が出来ないようにする薬剤(ワーファリン、プラザキサなどの抗凝固薬)が使用されます。

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