「片足立ち20秒未満」が無症候性脳血管病変や認知機能低下と関連

(医学雑誌Strokeでの報告、2001412月)

 

 開眼での片足立ちの姿勢を20秒間保持できるかどうかが,健康な中高年者における無症候性脳血管病変や認知機能低下の有無と関連することが,京都大学と愛媛大学との共同研究から明らかになった。

 

同研究は愛媛大学病院での抗加齢ドック参加者1,387例を対象に、姿勢の安定性と無症候性脳血管病変および認知機能との関連を検討した研究である。姿勢の安定性は開眼片足立ち保持時間の測定により評価し、静的な平衡機能については重心動揺計を用いた姿勢の安定性の評価も同時に実施した。さらにMRIを用いてラクナ梗塞や微小脳出血など無症候性脳血管病変の有無を評価し、一方,軽度認知障害の有無はタッチパネル式認知機能評価法(TDAS)で評価した。この他,動脈硬化の有無を評価するために頸動脈エコー(超音波)検査により動脈硬化の程度を測定した。

 

片足立ち20秒未満は無症候性脳血管病変

(ラクナ梗塞および微小出血)と有意に関連

 

高齢者では無症候性脳血管病変の存在は脳卒中の強い危険因子である。今回の研究から,片足立ち時間と静的な重心動揺とを評価することで,片足での立位の保持時間低下が潜在的な脳血管病変の存在を示唆することを明らかになった。

すなわち一見健康そうな人であっても姿勢の安定性が低下している場合、これが脳における早期の病理学的変化と認知機能の低下を予測する因子であることが明らかになったと説明されている。

 

さらに,「片足立ち20秒未満」かどうかを、高齢者の総合的な健康状態の評価尺度の1つとして位置付け,姿勢の不安定性がみられる場合には、より一層の注意を払うべきだとの見解を示している。

 

脳卒中再発作を50%減らす方法

継続的な血圧管理が鍵

 

 米国心臓協会(AHA)は脳卒中後救命され、その後も継続的に血圧管理を実施している場合、再び脳卒中が起こる可能性が50%以上低いことを示した研究を、同学会発行のStroke誌に発表した。

 研究グループは、1996-2003年に米国、カナダおよびスコットランドの虚血性脳卒中患者3680人について試験開始から24カ月後までの間に実施した研究の結果を分析。血圧値を含む危険因子を検討した。そして収縮期(高い方の血圧)が140 mmHg以下、拡張期(低い方の血圧)が90 mmHg以下の場合に「血圧管理されている」とみなした。

 その結果、2度目の脳卒中が生じる可能性は、収縮期血圧が153 mmHg以上であった人と比べ、血圧を適切に管理した人の方が54%少なかったことが判明した。

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