マグネシウムが糖尿病を抑制

 

「食事でマグネシウムを多く取る人は糖尿病になりにくい」。欧米の疫学研究で以前から指摘されていた傾向が、九州大チームの調査で確認された。この研究は、福岡県久山町の住民の健診データから、「マグネシウム摂取量と糖尿病発症との関係」を21年間にわたって追跡した調査で、マグネシウムの摂取量が増えるほど糖尿病のリスクが下がるという結果が分った。

 

糖尿病予備軍は全国で約700万人いると言われる。肥満、食べ過ぎ、運動不足、お酒の飲み過ぎなど、糖尿病リスクが高いとされる人ほど、マグネシウム摂取での予防効果がより高い可能性がある。

 

マグネシウムには、インスリンの働きを良くし、糖の代謝を改善する作用がある。マグネシウムが不足するとブドウ糖を細胞の中に取り込めなくなり、インスリンの効きが悪くなる。たとえインスリンはあっても十分に作用しないことから、糖尿病の発症につながると考えられる。

 

近年、日本人がマグネシウム不足になった原因には、食の変化、すなわちマグネシウムを豊富に含む穀物の摂取が減ったこと。また外食やファストフードの利用など、塩分を過剰摂取する機会が増え、体内のマグネシウムの排泄が増えたことなどが考えられる。

 

マグネシウムを多く含む食品

そば、バナナ、のり、ヒジキ、まめ類、五穀米、豆腐、抹茶、胡麻、ワカメ、野菜類、魚類、椎茸、イチジク、昆布、牡蠣、芋、納豆、トウモロコシ、胡桃(くるみ)、また米・麦・豆・あわ・きび(または、ひえ)をブレンドした五穀米など。ただし、マグネシウムの取り過ぎには注意! サプリメントなどで、過剰に摂取すると下痢などを起こすことがある。

 

糖尿病とは、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンが足りなくなったり、うまく細胞に作用しなくなるため起こる病気。インスリンは、からだの中で唯一血糖を下げるホルモンで、血液中の血糖のコントロールをしており、食後に血糖が上がらないよう調節する働きがある。さらに、血液中のブドウ糖を体の細胞に送り込んで、活動エネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンというものに変えて、エネルギーとして貯える働きもある。

 

インスリンが不足したり、うまく作用しないと、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなって、血液中のブドウ糖が使えなくなり、血糖が上がる。一方、筋肉や内臓にエネルギーがうまく運ばれなくなり、全身のエネルギーが足りなくなってしまう。

 

わが国の成人型糖尿病の95%は2型糖尿病というタイプで、食事の過剰摂取や運動不足などの生活習慣が関係している場合が多い。糖尿病の方では、脳卒中にかかりやすくなり、脳梗塞の危険度は男性1.60倍、女性2.97倍となる。普段から腹八分目として、なるべく体を動かすように努めることが大切である。

 

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