未破裂脳動脈瘤 

―破れて出血する前の脳動脈瘤が見つかった時、どうするか?−

 

脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)とは、脳の血管に出来た小さな風船のようなコブで、ある日突然に破裂し「くも膜下出血」の原因となります。最近、脳の検査で偶然に、あるいは脳ドックを受診され、脳のMRA検査(MRIを使って血管を写す方法)で、この未破裂脳動脈瘤が見つかる方が増えています(全受診者のうちの23%に見つかったとの報告が多い)。

 

一旦、脳動脈瘤が破裂しくも膜下出血を起こすと、死亡(突然死を含む)又は寝たきりの状態になる確率が3040%と言われるほど怖い病気です。そして残りの方は生き残り、社会復帰される可能性があるのですが、速やかに手術などの外科的治療を行わないと、もう一度破れて再出血(初回破裂後、24時間以内に最も多い、917%)をきたし、致命的な状態となることが多いのです。知らないうちに脳動脈瘤が出来ていた。この見つかった脳動脈瘤、そのまま様子を見ているのも心配で、知ってしまった以上、どうしたら良いのかと悩むことになるのです。

 

これが今後、破裂するのか、しないのか? この未破裂脳動脈瘤が今後、破裂し、生命に危険を及ぼす確率はどのくらいなのか?

 

治療するならば、どのような方法があるのか? 

治療を受けるとしても、そのリスクはどの程度のものなのか? 

 

1UCAS Japan(日本未破裂脳動脈瘤悉皆調査)という最新の研究から、日本人における3o以上の大きさの未破裂脳動脈瘤の年間の破裂率は0.95%で、サイズが大きくなるに従い破裂の危険性も上昇し(79mm1.69%、1024mm4.37 )、また小さくても (1) 破裂の危険性が高い場所に出来ている場合(前交通動脈や内頚動脈‐後交通動脈分岐部1.311.73%)、(2) 不整形のものは破れやすく(2.33%)、女性の方が破裂リスクが高いことが分っています。例えば年間の破裂率を約1%とすると、10年で10%、30年で30%の方の動脈瘤が破裂することになるというわけです。

2、脳動脈瘤に対する治療法としては開頭クリッピング手術と血管内手術とがあります。

いずれの方法をとるにしても、それぞれ、少ないながらも合併症を被る危険性がないとは言えません。概ねどちらも合併症の出現率は510%程度と言われています。もちろん動脈瘤の出来た部位や大きさ、また形によっても変わります。

 

 結局、見つかった未破裂脳動脈瘤が今後、破裂し生命に危険を及ぼす確率と、治療によって被る可能性のある危険性とを、天秤にかけて考えるしかありません。例えば、破裂率が年間1%であるとして、一方、治療による合併症の可能性が5%程度であれば、そして年齢が70歳以下の方では治療を選択された方が良いということになります。

ページトップへ

inserted by FC2 system