突然、記憶に起こった記憶喪失(一過性全健忘)

 

一過性全健忘とは突然に起こる30分から8時間(平均4時間)続く一過性の記憶障害の発作のことを言います。普通、発作の間、意識は保たれていて食事、洗面、会話などの日常動作などは普段どおり行なわれますが、発作中、「自分はどうしてここにいるのか?」、「今日は何月、何日だ?」などと同じ質問を繰り返したりすることがよく見られます。そして後で聞いても、発作中のことを全く覚えていないのが普通です。この病気は、中年以上の方に多く、脳卒中に近い病態と考えられています。つまり記憶を司どっているのが大脳のうちの側頭葉と言う場所ですが、そこにある海馬回(かいばかい)への動脈に、動脈硬化が起こったせいで、一時的な血流障害(虚血)が起こることが原因であると考える学者が多いようです。

 

手と口が同時にしびれると、脳卒中?

 

全身から大脳までの感覚神経の通り道のうち、途中にある中継地点が大脳の中央にある「視床(ししょう)」です。この視床の中では広い部分を「手」と「口」の感覚神経の通り道が占めています。そこで、ここに出血や梗塞(こうそく)が起こると、手と口が同時にしびれることが多いのです。この症状は、手口感覚症候群と呼ばれています。「手がしびれる場合に、口も同時にしびれる」というケースの場合、脳卒中にかかった可能性が高いため、すぐに病院を受診しましょう。

 

突然に片目が見えなくなった(一過性黒内障)

 

突然、片眼だけに「黒いカーテンがおりてくるように」、「白っぽく霧がかかるようになって」、「黒い水平線が上がってくるようにして」、「写真のネガのような見え方のようになって」、そして目が見えなくなってしまうというような症状が出現し、23分(長くても20分位)で元に戻る。こういったものを一過性黒内障(こくないしょう)と言います。

 

眼球に行く動脈(眼動脈)は、脳に行く動脈(内頚動脈)が一旦頭の中に入って、その後、枝分かれしてから、再び頭の外に出て眼球に向かいます。要するに眼動脈は枝分かれした脳の動脈のうちの1本のようなものなのです。一過性黒内障は、首から脳に至る内頚動脈、そして、その内頸動脈から枝分かれして眼動脈を通って眼球にいたるまでの血管の、どこかに問題が起こり、そのせいで眼に行く血流が障害され起こる症状です。原因としては、動脈硬化のせいで狭くなった動脈に血栓〈けっせん〉(血液の固まり)が形成され、詰まってしまった場合、あるいは血圧の変動(血圧の低下)などをきっかけとして、狭くなった部分より先に十分な血液が流れなくなった場合、もしくは、動脈硬化が起こったせいで狭くなった動脈では、壁の部分に血液の塊(血栓)が出来やすくなりますが、なにかの拍子に、この血栓が血管の壁から剥がれ、塞栓となって先の方の動脈の方に流れて行き、そこを詰まらせてしまう場合などがあります。すなわち一過性黒内障は、内頚動脈系の一過性虚血発作(TIA)のひとつで、脳梗塞の前触れ、すなわち警告症状と考えられています。

 

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