大腿外側皮神経痛


 足の神経痛という言葉で思い浮かべるのは、坐骨神経痛が多いと思いますが、「大腿外側皮神経痛」は太ももの外側のみがしびれたり、痛んだりする足の神経痛のひとつです。

「大腿外側皮神経」は、皮膚の感覚を担当する神経なので、足の動きが麻痺して足が上がらないとか、筋肉が痩せていくなどということはありません。この神経は、大腿部の中央からやや外側と側面の部分の感覚を担当しています。そこで、この領域だけの痺れ感や、痛みだけが自覚症状として現れます。

この神経は、第23の腰椎の傍から出て骨盤の内側を通り、股関節の前面部で鼡径靭帯の下をくぐって、大腿前面にある縫工筋の間に出てきます。鼡径靭帯や、縫工筋の間を通るので、狭い空間の中を通る神経がその部位で外部からの圧迫を受けると神経痛を発症します。発症時は、大腿の外側に灼熱感を伴う痛みが出現します。また、大腿外側皮神経が鼡径靭帯の下をくぐるところあたりで、Tinel sign(チネルサイン)と呼ばれる叩くとひびく場所があります。

大腿外側皮神経痛は、鼡径部を圧迫することになる原因、すなわち肥満・妊娠・ベルトやコルセットの絞めすぎ、あるいは窮屈なズボンや下着を付けることなどによって起こるといわれています。太ももの横がしびれたり痛んだりする場合には、この大腿外側皮神経痛を疑ってみてください。

手根管症候群(しゅこんかん)

手のしびれの原因のうちで一番多いものが、この手根管症候群です。初期には示指、中指がしびれたり痛んだりしますが、症状が進むと母指(親指)から環指の母指側の3本半の指がしびれます(正中神経の支配領域)。急性期には、このしびれ痛みは明け方に強く、目を覚ますと手がしびれ、痛みます。手を振ったり、指を曲げ伸ばしたりするとしびれ、痛みは楽になります。手のこわばり感もあります。ひどくなると母指の付け根(母指球)がやせて母指と示指できれいな丸(OKサイン)ができなくなります。縫い物がしづらくなり、細かいものがつまめなくなります。

妊娠・出産期や更年期の女性に多く生じるのが特徴です。そのほか、骨折などのケガ、仕事やスポーツでの手の使いすぎ、透析をしている人などに生じます。腫瘍などの出来物でも手根管症候群になることがあります。正中神経が手首(手関節)にある手根管というトンネル内で圧迫された状態です。それに手首(手関節)の過剰な運動が加わって手根管症候群が起こるのです。

手根管は手関節部にある手根骨と横手根靱帯(伸筋支帯)で囲まれた伸び縮みのできない狭いトンネルで、その中を1本の正中神経と指を動かす9本の腱が滑膜性の腱鞘を伴って走行しています。妊娠・出産期や更年期の女性では女性のホルモンの乱れによる滑膜性の腱鞘のむくみのせいで手根管の内圧が上がり、正中神経が圧迫されて手根管症候群を発症します。


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