胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

 

なで肩の女性や、重いものを持ち運ぶ労働者の方に、肩や首・肩甲骨などのこりやだるさ、上肢のしびれや痛みなどの症状があれば、胸郭出口症候群の可能性があります。首から出て上肢へ伸びる神経は、首から鎖骨のあたりを通って腕へ向かいます。なで肩で事務仕事などの多い方に多く、長時間パソコンを使うなど手を下ろしていることで、この神経の通り道が狭くなり症状が出るのです。

 

首を通る脊髄からは8本の神経が出ており、そのうちの第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経が上肢や肩の運動や感覚を司っています。この複数の神経の束を腕神経叢(わんしんけいそう)と呼び、「胸郭出口」と呼ばれる首から肩にかけての神経と血管の通り道を通っています。この通り道が狭くなって神経や血管が圧迫されると、上肢のしびれや痛み、頚肩腕痛(けいけんわんつう)など様々な症状が出てくるのです。

 

つり革につかまる時や、物干しの時のように腕を挙げる動作で上肢のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みを生じます。また、前腕尺側から手の小指側に沿ってしびれ感、ビリビリ感、痛みなどの症状に加え、手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状が出ることもあります。動脈が圧迫されると、上肢への血行が悪くなって腕は白っぽくなり、痛みを生じたりします。静脈が圧迫されると、手・腕からの静脈血の戻りが悪くなり、むくんだり、冷たく感じたりすることもあります。

 

坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)   

          

坐骨神経は、腰から出て、骨盤、お尻を通って足の指先にまで伸びている末梢神経で、ペン軸ほどの太さがある最も太い神経です。また非常に長い神経でもあり、末梢までの長さは1m以上もあります。

 

坐骨神経痛とは、病名ではなく、症状を表す言葉です。何らかの原因によって、この坐骨神経が圧迫されると腰や臀部から大腿後面、下腿の外側や後ろ、足の甲あたりまでのシビレや痛みをきたしますが、これを「坐骨神経痛」と呼んでいます。この神経が障害を受けると、痛みやしびれが現れるだけでなく、下肢の麻痺や痛みによる歩行障害を伴うこともあります。

 

坐骨神経痛の原因には、年齢が若い場合は、「腰椎椎間板ヘルニア」と「梨状筋症候群」が多く、高齢になると「腰部脊柱管狭窄症」、「腰椎椎間板ヘルニア」、「腰椎分離辷り(すべり)症」などがあります。

腰部脊柱管狭窄症でもっとも特徴的な症状は、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行(かんけつせいはこう)で長い距離を続けて歩くことができません。腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。しかし、すこし前かがみになったり、腰かけたりして休みますとしびれや痛みは軽くなり、また歩けるようになります。

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