脂肪肝は以外に怖い病気?

 

脂肪肝とは肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態で,肝臓内の肝細胞の30%以上に脂肪が認められる状態を言います。

脂肪肝、放っておいたら知らない間に肝硬変、 肝癌なんてことにならないために

酒を飲まない人の脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と言います。NAFLDには進行せず良性の経過をたどる単純性脂肪肝と肝硬変、肝癌へと進行する可能性のある非アルコール性脂肪肝炎 (NASHナッシュ)とがあり、NASHは国内に約100~200万人いると推定されています。これまで脂肪肝は,ほとんど進行せず重篤な病態にはならないと考えられていました。しかしNASHでは慢性の肝障害が進行し,末期には肝硬変や肝癌へと進行することがあります。

肝癌の多くはB型やC型肝炎ウイルスに感染している患者さんから(約90%)ですが、このところ肝炎ウイルスに感染していない肝癌患者が増加しています。その原因としてNASH由来の肝癌が疑われています。肝臓は沈黙の臓器とも言われ、脂肪肝にかかっても、初期には症状はほとんどありません。人間ドック受診者の20?30%に脂肪肝が見つかるとの報告もあります。早期発見には肝機能検査が有用です。

機能は主に血液検査のうちのALT(=GPT)とAST(=GOT)の2項目で判定されます。  

ASTALTは肝細胞内にある酵素で、肝細胞が壊れると血液中に出てくるため高値となります。脂肪肝ではまずALTが上昇します。γ-GTPはアルコール性肝障害やNAFLD で高値になります。NASHと診断され、経過を中にALTが低下し、同時に血小板数が低下してくると肝臓の線維化、すなわち肝硬変への進行が疑われ要注意です。

 

肥満は肝癌の発症の危険因子?

 

NAFLDの原因としては,肥満,糖尿病,高脂血症があげられます。すなわちメタボリックシンドローム(内臓への脂肪蓄積)です。日本では中高年の940万人がメタボリックシンドロームで,さらにその予備軍が1020万人いると推定されています。メタボリックシンドロームになりやすい生活習慣としては,暴飲暴食,過剰な間食,過剰な糖分摂取,濃い味付け,緑黄色野菜の不足,運動不足などがあげられ、こういった生活習慣の改善が最も大切です。

なかでも肥満が重要で、体重の目安としてBMI:体重(kg)/身長(m)2がよく使われます。BMI 25?30kg/m2の軽度の肥満では50%に脂肪肝が認められ,BMI 30kg/m2以上の高度肥満では75%に脂肪肝が認められるとの報告があります。体重減少はNASHの病態改善に有効であることが証明されておりBMI25以上の場合10%の体重減少を図ります。

なお糖尿病患者の8 人に1 人が肝疾患(肝癌、肝硬変)で死亡しているとの報告が日本糖尿病学会から発表され、これらの中にはNASHが原因となっている例が存在すると推察されています。

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