若年性認知症

 

認知症は高齢者の病気――そんな誤解をしている人が多い。実は働き盛りの年代でも認知症になることがある。仕事や家庭の第一線で活躍している世代なので、発病した場合、経済的にも精神的にもダメージが大きい。

 

「若年性認知症」とは、64歳以下で発病した認知症のことを言い、近年、増加傾向にある。20093月に発表された厚生労働省の調査結果によると、全国推計37800人の患者がいることが明らかになった。実際はその2倍はいるとされる。働き盛りの40代後半では、人口10万人あたり27.1人がかかっていると言われ、年齢を追うごとに急激に増加し、60前半では189.3人に達する。

 

若年性認知症にかかると記憶障害、判断力の低下が起こり、もの忘れが増え、同じことを繰り返し話したり聞いたりする。会話の中で、使いなれた単語や物の名前が出てこなくなり、うまく喋れなくなった。簡単な計算ができなくなったり、計算ミスが増えた。探し物、忘れ物が多くなった。最近の会話や出来事を覚えていない。日付があやふやになったり、場所がわからなくなる。家事や服を着る手順などが分からなくなるなど、日々なにげなく行っていた動作が分からなくなってしまうことも多い。

 

物忘れがひんぱんになる、人に会う約束をたびたび忘れる、家事の段取りがうまくゆかなくなった、そういったことが早期発見のサインにつながる。

 

以下の若年性認知症のチェックリストで、あてはまるものがないかチェックしてみよう。思い当たる項目がある人は早めに医療機関を受診し、診断を受けた方が良い。


【本人の自覚症状】


(1)仕事がはかどらなくなった。
(2)書類の書き間違いや計算ミスが多くな  

った。
(3)受発注漏れや繰り返しが増えた。
(4)二重請求や請求漏れを繰り返すように

なった。
(5)約束の日にちや時間を忘れてしまう。
(6)電話の取次ぎがスムーズにできなくな

った。
(7)家事の段取りがうまくできなくなり、

時間がかかるようになった。
(8)料理のレパートリーが減った。
(9)昨日の夕食が思い出せなくなった。


【家族から見たチェック項目】


(1)約束の時間に遅れることが増えた。
(2)おしゃれだったはずなのに服装にかま

わなくなった。
(3)好きだった物事に興味を示さなくなっ

た。
(4)ぼんやりするようになった。
(5)物忘れが激しくなった。
(6)物忘れを認めず、言いわけを繰り返す。
(7)怒りっぽくなった。

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