話題の血栓溶解療法(t-PA療法)とは?

 

脳梗塞にかかっても、すぐにこの治療を受ければ、劇的に良くなる可能性があるとして話題になっています。脳梗塞は脳への動脈が詰まることによって、その先に血液が流れなくなり脳細胞が死んでしまう病気です。この詰りを溶かしてしまえば脳梗塞が治るのではないか? これが血栓溶解療法です。この血液の塊り(血栓)を溶かすための薬がt-PA(アルテプラーゼ)で、平成1710月から日本でも治療に使えるようになり、この治療を受け九死に一生を得た方もおられると思います。

 

ただし発病から3時間以内に治療を開始する必要があるとされていました。その理由は、治療が遅れて、血管が傷んでしまった後に血液が流れると、脳出血を起こしかえって悪くなってしまう危険があるからです。しかし発病から3時間以内に治療を開始すると言いましても、近くに専門病院がなかったり、病院へ行くまでに時間がかかったり、着いてから診察や検査を受けてからとなりますと、アッと言う間3時間が過ぎてしまい、なかなか、この条件を満たすのが難しかったのです。最近、その後の研究や調査の結果をふまえ、これまでの3時間から45時間に延ばしても安全に治療できることが分かりました。そこで20128月から4.5時間以内であればこの治療を行ってもよいことになったのです。

 

心臓が原因で起こる脳梗塞は冬に多い

 

以前は日本人の死因の第一位が脳卒中、そのほとんどが脳出血と言う時代がありました。脳出血の原因は高血圧、血圧の上がりやすい「冬」に多かったのです。その後、食生活の西洋化などから動脈硬化にかかる方が増え、そのせいで脳梗塞がどんどん増え、最近では脳卒中と言えば、ほとんどが脳梗塞という時代になりました。脳梗塞は汗をかいて血液が脱水、つまりドロドロになりやすい「夏」に多いので、このところの脳卒中は「夏に多い病気」となっています。

 

実は 脳梗塞にも、いくつかのタイプがあり、一番多いタイプは、高血圧が続いたせいで脳の中の細い動脈が詰まるタイプ(穿通枝梗塞、ラクナ梗塞)です。次に動脈硬化のせいで動脈が狭くなって詰るタイプ(皮質枝梗塞)があります。それ以外に最近増えているのが心臓が原因、すなわち不整脈のせいで起こるタイプ(心原性脳塞栓)で、このタイプが冬に多いのです。このタイプは脳梗塞の中でも特に重症化しやすいタイプで「ノックアウト型脳梗塞」とも呼ばれます。                

このタイプの脳梗塞の原因は心房細動という不整脈で、これが起こると心臓の中で血液がよどみ、血液の塊り(血栓)ができます。この血栓が血流に乗って流れて行って脳の血管が詰まるのです。このタイプでは太い動脈が詰まりやすく血流が途絶える範囲が広くなりがちで、重症の脳梗塞が起こります。

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