脂質異常症(高脂血症)とは?

 

脂質異常症とは高脂血症(高コレステロール血症)のことです。2007年に日本動脈硬化学会は高脂血症を脂質異常症と名称変更し、診断基準の改訂を行いました。名称変更になった理由は、血液中の悪玉(LDL)コレステロール値が高い、または善玉(HDL)コレステロール値が低いという脂質異常の状態が、心疾患や脳卒中などの動脈硬化が原因で起こる病気のリスクを高めるからです。

 

脂質異常症(高脂血症)から起こる動脈硬化のせいで、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まります。自覚症状がないため治療しないで放置している人が多く、心臓病や脳卒中の発作が起きて初めて事態の重大性に気づくことも少なくありません。LDLコレステロールが高いと、血管の内壁にコレステロールが入り込み血管内膜は肥厚し、プラーク(糊腫)を形成します。これが動脈硬化です。糊腫が分厚くなると、そのせいで血管内膣が狭くなり、最後にプラークが破裂すると、その部分で血栓(血液の塊り)が作られます。心筋梗塞や脳梗塞は、このようにして動脈硬化を起こした部分に血栓が詰まって起きる怖い病気なのです。


更年期以降の女性でLDLコレステロール値が急に上昇するのはなぜ?

 

 「健診で、これまで正常だったのに、LDLコレステロール値が高いと言われた。脂っこいものばかりを食べたわけでもないのに、なぜ?」50歳前後の更年期を迎えた女性に、このような経験をする人が増えてきます。

 女性では40代後半から50代になると、急にLDL(悪玉)コレステロール値や中性脂肪値が上昇してきます。そして、50代以降では約半数の方が「脂質異常症」(高脂血症)の診断基準にあてはまる数値になってしまいます。

 なぜ女性は、50歳を境に急にLDLコレステロール値が上昇してくるのでしょうか?

 

これは、女性が更年期になり閉経に近づくと、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が減少してくることと関係しています。エストロゲンはLDLコレステロールの分解と排泄を促し、HDL(善玉)コレステロールの合成を促すという大切な働きをしています。つまり血管の老化を防いで動脈硬化などの悪い方向に進むのを防いでくれていたのです。すなわちエストロゲン分泌の減少がLDLコレステロール上昇の原因だったという分けです。

 

更年期以降は脂質異常症の予防を

 

女性では更年期以降はLDLコレステロール値が高くなるばかりでなく、中性脂肪も増加してきます。皮下脂肪・内臓脂肪として蓄えられた中性脂肪は、必要に応じエネルギーに変換され消費されるのですが、新陳代謝の低下に加え運動不足が重なって、中性脂肪の値が高くなってきます。その結果、高中性脂肪血症(高トリグリセリド血症)の方が増えてきます。そしてLDLコレステロールの上昇と相まって動脈硬化のリスクが高くなってくるのです。

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