一過性脳虚血発作(TIA)

血管の壁にできた血栓(血液のかたまり)が剥がれて脳の動脈の方に流れていき、そこで血管を詰まらせたり、脳への動脈に狭いところが出来ていて、その先への血流が悪くなった場合、手足の麻痺などの症状が起こります。一旦詰まった血栓が、粉々に砕けて流れ去ったりして 一旦、悪くなった血流が再開すると、症状も一時的なもので終わります。このような発作を一過性脳虚血発作と言います。この一過性脳虚血発作は「脳梗塞の前ぶれ」と言われています。

一過性全健忘 記憶が突然消えてしまう

−軽い脳卒中が原因?−

 

一過性全健忘(TGA)は中年以降に多く、一時的に記憶だけが障害される病気です。発作は突然に起こり、発作中のことを、後で全く覚えていないのが特徴です。通常24時間以内に治ってしまいます。

 

例えば、銀行にお金を引き出しに行き、帰る途中で、なぜお金を持っているのか分からなくなる。「銀行に下ろしに行ったから」と説明されると一旦、了解するが、すぐ「なぜ、こんなお金を持ってるのか」と同じことを質問してくる。発作が終わった段階で、この間のことを全く覚えていない。 発作中は、言われたこと、目で見たこと、感じたことなどすべて忘れてしまうので、後で聞いてもこの間のことを全く覚えていません。記憶は永久に失われ、あとで回復することはありません。発作の間、自分が誰かとか、身近な人の名前や自分との関係などは分かっています。またろれつが回らなくなったり、手足に麻痺が起きたりしません。発作中、意識の障害や記憶以外の脳の機能には障害は生じないので、かなり複雑な行為も可能です。車の運転をしたり、物を作ったりといつもと変わりなく行動します。自分がなぜここにいるのか、何をしているのかが分からず、「私はどこにいるのですか」などの質問を繰り返します。状況を教えられても、それを覚えておくことができないため、繰り返し同じ質問をします。周囲の人は、同じ質問を繰り返されて気付くことが多いようです。このように同じような質問を繰り返すのが特徴的な症状です。「海馬」の血流障害:一過性全健忘は側頭葉にある脳の記憶に関係する「海馬」という部位の血流が一時的に悪くなって発症すると考えられています。そのため一過性脳虚血発作、すなわち脳梗塞との関連が疑われています。

片目が急に見えなくなった:一過性黒内障

血管の壁から剥がれた血栓が脳の動脈の方に流れていった場合、脳梗塞などの脳卒中を起こします。一方、目に血流を供給する眼動脈は頚動脈からが枝分かれしていますので、この血栓が眼動脈の方に流れていくと、血栓が詰まって、網膜の血行が途絶し一時的に片目が見えなくなることがあります。これを一過性黒内障といいます。この一過性黒内障は、片目が見えなくなるという症状のため、患者さんは最初に眼科を受診することが多いのですが、一過性脳虚血発作の仲間であり、「脳梗塞の前触れ」であることを覚えておいて下さい。

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