うつ病の薬(抗うつ剤)が原因不明の痛みに効果 

―うつ病でもないのに抗うつ剤をもらった?

 

人間の脳にはセロとニン系、ノルアドレナリン系、ドパミン系という3つの大きな神経ネットワークがあります。そのうち、セトロニン系とノルアドレナリン系の神経ネットワークは、感情や痛みの調節を司る脳内の網様体、下降性疼痛抑制系、感覚皮質や大脳辺縁系などと深くかかわっています。

 

このセロトニン系とノルアドレナリン系の神経ネットワークがうまく働かなくなると二つのことが起こる可能性があります。ひとつは感情に影響して「うつ病」のようになったり、そして、もうひとつは、痛みの感じかたが変わってちょっとした痛みでも、それを耐えがたく感じたり、あるいは何も原因がないのに体のどこかに慢性の痛みが起こるようになったりするのです。実際、原因不明の痛みには「抗うつ薬」がよく効くことが分かっています。そこで、痛み止めが効かないような原因不明の痛みの治療に、うつ病でもないのに抗うつ剤が使われることもあるのです。

 

認知症の周辺症状の治療(抑制)に「漢方薬」が効果
 
認知症の周辺症状とは?


 認知症では、物忘れなどの中核症状以外に、幻覚や妄想、徘徊、イライラや興奮などのさまざまな症状が出現することがあり、これを周辺症状と呼び、介護する方々にとって負担が大きくなる原因となっています。


西洋薬による認知症の主な治療法は?


 アルツハイマー病では、アリセプト(塩酸ドネペジル)が、唯一、健康保険で使える薬ですが、残念ながら、アルツハイマー病の原因がまだ完全にはわかっていないので、根本的に治す薬ではありません。、物忘れなどの進行を遅らせるために使われます。一方。周辺症状には、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬などの薬が使われてきました。


健康保険が使える漢方薬の一つである抑肝散の認知症周辺症状に対する効果が注目されている

 

アルツハイマー病やレビー小体型認知症の患者さんの周辺症状に対する筑波大学の水上教授らの研究成果から、抑肝散は服用し始めて4週後に妄想、幻覚、興奮攻撃性、焦燥感、怒りっぽさが抑えられることが分かりました。また、慢性頭痛などに処方される「釣藤散」について、血管性認知症患者さんを対象とした富山大学の研究では、会話の自発性の低下、表情の乏しさ、幻覚、妄想、夜間せん妄、睡眠障害などの症状が改善、すなわち元気のない症状や興奮性が改善し、笑顔が増え、穏やかになった患者さんもいたとのことです。すなわち、西洋薬と漢方薬をうまく組み合わせることにより、認知症の患者さんの

生活の質を高めることができるようになってきているのです。

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