高血圧等の危険因子を減らせば 脳梗塞発病のリスクは確実に下がる

 

脳梗塞を発症させる主な危険因子には、1:高血圧(61%)、2:糖尿病(24%)、3:不整脈(21%)、4:喫煙(17.5%)、5:脂質異常症(17%)、6:過度な飲酒、7:肥満、8:運動不足、9:ストレスをあげることができます。これらの危険因子を減らしていくことが、脳梗塞予防のコツです。

 

高血圧の方では、血圧を56oHg下げるだけで脳梗塞発症のリスクが42% も減る

4700人を対象としたアメリカの研究(シェップスタディ)では、血圧の薬で高血圧という危険因子を治すと、脳卒中の発症が約36%も減らせるという事実が判明しています。また、最近の研究によると、最大血圧(高い方の血圧)を56oHg下げるだけで脳梗塞の発症リスクが42%も減る、というデータが明らかにされています。血圧を下げれば動脈硬化の進行が抑えられ、血管の狭窄化を阻み、脳梗塞の予防につながるからです。食事療法や運動療法などで血圧が十分に下がらないときは、医師と相談の上、血圧の薬(降圧剤)を処方してもらった方がよいでしょう。

 

脳梗塞を起こしてから始めて、糖尿病にかかっていることに気づいた人も少なくない

2番目の危険因子としては糖尿病があげられます。脳卒中の方は、しばしば糖尿病を患っています。糖尿病にかかると動脈硬化が進み、脳梗塞の発症リスクを23倍高める、というデータがあります。現在、糖尿病の患者は日本全国で約740万人、その予備軍を含めると約1620万人にのぼります。問題点は、糖尿病にかかっていても、それに気づいていない人や、気づいていても治療を受けていない人が多く、そのような方が、糖尿病とその予備軍のうちの約半数にものぼることです。なかには、脳卒中を起こして初めて、知らないうちにかかっている糖尿病の存在に気づいたという人も少なくありません。

10年間に約半数の人が脳梗塞を引き起こす心房細動

脳梗塞の第3番目の危険因子は、心房細動と言う心臓の不整脈です。心房細動にかかると、心臓に血液の塊(血栓)ができやすくなり、それが脳へ飛んで脳梗塞を発症させてしまいます。高齢者では、心房細動から脳梗塞を発病する方が急増し、男性の場合は60歳以上、女性の場合は65歳以上になると年間5%の確率で心房細動から脳梗塞を起こします。つまり、心房細動を放置しておくと、10年間に約半数の人が脳梗塞を起こすほど発症の確率が高いのです。「ミスタージャイアンツ」こと長嶋茂雄さんも、心房細動から脳梗塞を起こした患者の1人でした。心房細動と診断された人は、脳梗塞の予防のため、血液を固まらせない抗凝固薬の服用など、なんらかの治療が必要です。

 

脳梗塞を急増させた欧米型食生活と脂質異常症

脳梗塞の危険因子としては。さらに脂質異常症があげられます。脂質異常症とは、これまでの高脂血症のことです。具体的には、高コレステロール血症。すなわち善玉コレステロール(HDLコレステロール)が少なく、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が多い状態で、コレステロールが血管に沈着して動脈硬化を進め、脳梗塞の発症に向けて準備を整えている状態です。最近、この脂質異常症が急増し。そのため脳梗塞が増えてきているのですが、その原因は、動物性脂肪が多い西洋型の食生活に変化してきたからです。普段から肉よりも、魚や野菜を主とした和風の食事を摂るようにすることが大切です。そして脂質異常症と診断されたら薬物療法を含め適切な治療を受る必要があります。

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