クモ膜嚢胞 arachnoid cyst とは

くも膜嚢胞があると言われました。手術が必要でしょうか?

脳の表面を覆う「くも膜」という膜と、脳との間のスペースを「くも膜下腔」と言い、このスペースは、もともと髄液という水で満たされています。

「くも膜のう胞」は、胎生期におけるクモ膜下腔の形成不全により、先天性にできた髄液がたまった袋、ウオーターバッグのようなものです。頭を打ったりした際、あるいは頭痛で検査を受けた際に偶然に発見されたりすることがしばしばです。頭部単純CTでは髄液と同じ吸収域(黒い)の嚢胞を認め、頭部単純X線写真では、このくも膜嚢胞に接した骨の膨隆(ふくらんだり)や菲薄化(薄くなっている)ような所見が見られることがあります。この「くも膜嚢胞」は、ほとんどの場合、全く無症状で、急激に大きくなることはめったにありません。そこで、小さいものや無症状の場合は、経過をみる程度で十分でしょう。ただし、子供さんの場合で、かなり大きくて、それが脳を圧迫しているなら成長期の脳に与える影響は無視できないことがあります。脳の成長は2歳までが急激です。そこで、その圧迫を取り除く手術をしてあげる方が良いでしょう。早い時期に手術すれば後遺症もなく元気に成長されると思います。

ところで、高い所からの転落や交通事故で頭をひどく打った際、硬膜下血腫といって、脳の表面に出血することがありますが、くも膜嚢胞がある方は、それがない方にくらべ、この血腫ができやすいという説があります。偶然に頭を打つことまでを防ぐことはできないと思われますが、頭部を強く打つ危険の高い運動は避けるようにすべきでしょう。

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