頭がふらふらします

慢性のフラフラ感に悩んでおられるお年寄りの方はとても多く、40%近くの方が常時、めまい感を自覚しておられるという報告があります。あるいは65歳以上の人の30%がフラフラ感を訴えていた(米国での調査)とも言います。

頭がフラフラすると言う訴えの中には、めまい、立ちくらみ、歩く時のふらふら感、眼の前が暗くなる感じ、頭がフーとする、あるいは頭がボーとするような感じなどの症状が含まれます。

 

もともと、年齢とともに、視力が低下してきますし、下肢の筋力なども落ちてきます。さらに耳の奥にあって平衡感覚の維持に関係している前庭(ぜんてい)、あるいは平衡感覚の情報を伝える脊髄の機能なども弱くなり、年をとると体のバランスがどうしても悪くなってきます。そんなことで、ちょっとしたことでもフラツキやすいのです。

 

年配の方のめまい感には、複数の原因が関係していることもしばしばで、体のバランスが悪くなってきていることに加えて、脳の血液の流れが悪くなっている場合、首の筋肉の緊張異常、血圧の薬を飲んでいる方で血圧の下がりすぎた場合、うつ状態などが原因となっている場合などがあります。

脳からくる「めまい感、フラフラ感」

脳の血液の流れが悪くなると、ふらついたり、めまいが起こったりします。

年配の方のふらつき感の多くは、脳の動脈に動脈硬化が起こって、動脈が細くなってきたことによって、脳の血液の流れが悪くなって起こる場合が多く、こういった病態を慢性脳循環不全と言います。脳の血液の流れが悪くなってくると、最初のころは、頭を動かしたり、急に立った時などにフーとするような症状が起こるようになってきます。こういった方に、脳のCTやMRIなどの検査を行ってみますと小さな脳梗塞などの異常が見つかることが多く、そんなことからも、脳の動脈硬化による血液循環の悪化がふらつきの原因であろうと考えられています。

もともと脳には血液の流れを常に一定に保つための脳血流の自動調節能と呼ばれる安全装置が備わっています。その働きがありますので、少しぐらい血圧が上がったり、下がったりしても脳へ流れる血流の量が増えたり、減ったりしないようになっているのです。お年寄りの脳では、この脳血流の自動調節能の力が低下していることが多く、わずかに血圧が下がっただけでも脳血流の減少をきたすことになり、そのせいでフラツキ感を生じます。さらに動脈硬化をきたして細くなった脳の動脈では、いっそう血液の流れが悪くなりやすいのです。

なお、血圧が高いのを心配される方は多いのですが、血圧の下がりすぎを心配する人は案外少ないようです。しかし、血圧の薬を飲んでいる方では、時々、血圧を測ってチエックしておきませんと、知らないうちに血圧が下りすぎている場合があります。血圧が下がりすぎた時、最初に出る症状はフラフラ感です。

首からくるめまい

 実は、首の筋肉には、体のバランスを保つうえで大切な平衡感覚に関する情報を調べて、それを脳へ伝えるという機能が備わっています。「肩こり」、「首こり」のひどい方では、首の回りの筋肉の緊張が強くなっているせいで、異常な情報が脳に伝わることになります。そのため「めまい」や「フラフラ感」が起こることがあります。

首の筋肉は肩や頭とつながっていますから、首の筋肉が緊張しているということは、肩や頭の筋肉も緊張していることになります。肩の筋肉の緊張は「肩こり」、頭の筋肉の緊張は「頭痛」「頭が重い」という症状になって現れます。

このタイプの頭痛を緊張型頭痛と言い、あらゆる頭痛の90%を占め、頭がしめつけられるように痛むのが特徴です。この緊張型頭痛に伴うめまい感はとても多いようで、フラッとする、あるいはフラフラするようなめまい感が主に動いた時に起こります。

うつ状態のせいで起こるめまい

 現代社会では、うつ状態の方が増えています。そのうち、精神面でのうつ症状はほとんど目立たないのに、身体症状が前面に現れる仮面うつ病に注意が必要です。めまいは、不眠、頭重感とならんで、仮面うつ病の三大症状です。その際に起こるめまいはフラフラ感が多いようです。

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