顔面のしびれや痛み
顔面の感覚は3本の枝を持つ三叉神経が司っています。この三叉神経の3番目の枝である第3枝の経路のどこかに障害が起こりますと、頤部(おとがい)および下口唇に限局したしびれなどの感覚異常(頤しびれ症候群)が起こります。また、三叉神経の第2枝である上顎神経の先にある眼窩下神経に障害が起こりますと頬部(ほっぺた)にしびれなどの感覚鈍麻を生じます。稀に癌などの「できもの」によって神経が圧迫されて起こることがありますので注意が必要です。また、脳幹部にある三叉神経核の血流が悪くなると片側の口唇の外側が短時間、しびれたりすることがあって、これは脳梗塞の前触れのことがありますので注意しましょう。
心臓の病気、例えば狭心症では、稀にアゴが痛くなったりすることもあります。
顔面の痛みを生じる主な病気
いわゆる蓄膿症、額(ひたい)や頬部(ほっぺた)が痛む。うつむいた時に痛みが強くなる特徴がある。
2、緑内障
基本的には目が痛む病気であるが、ひどい頭痛や前額部(ヒタイ)の痛みを起こすことがある。
3、三叉神経痛
顔面痛の最も代表的なもので、痛みは電撃的で、「焼けるような」「電気が走るような」「ナイフや針で刺されるような」などと表現されます。
4、群発頭痛
若い男性に多い。反復性頭痛の中でも最も痛く、1〜2ヶ月は痛みが毎日生じる。片側の眼の奥を中心とした強い痛みで、痛みは、「えぐられる様な」「斧で殴られたような」「焼け火鉢を眼の奥に突きさされたような」などと表現される。
5、コステン(Costen)症候群(顎関節症)
顎関節の機能障害により顔面・頚部の強い痛みが生じる。
6、帯状疱疹(ヘルペス)
発疹を伴ってひどく痛む病気。発疹の起こる前から痛むので、痛みだけの時期には診断が困難なので注意。ヘルペスと分かったら、すぐに特効薬を使用することが大切。でないと痛みが後遺症になって残る。
7、歯のできものなどの病気
持続的な顔面下部の半面のずきずきする痛みが起こり、食事または触ることで悪化します。
8、側頭動脈炎
老人に多い病気で、片側の前側頭部(こめかみ)の部分に強い
拍動性、あるいは持続する痛みが起こります。膠原病の一種で、
早めに治療を開始しないと失明や心筋梗塞に至ることもあります。
9、頭の中の病気
脳腫瘍で起こることもあります。それ以外に稀な原因として トロザ・ハント症候群(Toloza-Hunt 頭の中の海綿静脈洞 というところの病気 )、グラデニゴー症候群(Gradenigo 頭の中の錐体骨というところの病気)などで起こることがあります。