山本クリニック新聞 17年夏直前号

一過性脳虚血発作、無症候性脳梗塞

一過性脳虚血発作

夏は汗をかくせいで血液中の水分が不足し、ドロドロとした状態になるせいで、脳梗塞が起こりやすい季節です。水分をよくとって脳梗塞を予防しましょう。脳梗塞は突然に起こる病気。かかってからでは手遅れ、しまったと思ってからではもう遅いのです。多くはないのですが、脳梗塞には、前ぶれのあることがあります。それが一過性脳虚血発作。しかし、それが起こっても、これが脳梗塞の前ぶれであると気付くかどうかが問題。普通、数分から十数分で良くなる発作なので見逃されてしまうことが少なくありません。すぐに治ったから、もう大丈夫だろうと放置してしまう方がほとんどです。前ぶれがあればラッキー。なぜなら、それに気づいて予防すれば、後に起こる脳梗塞を防ぐことができるのです。「疲れのせいかな?」、「年のせいかな?」、「風邪でもひいたのかな?」、「血圧を測って高かったら、血圧のせいだろう」とか、一瞬、「エライコッチャ」と思っても、すぐに治ってしまったので、「なんだ、たいしたことなかったわ」と様子をみたり、「もういっぺん起こったら医者にゆこうか」などと、放っておかれることがほとんどです。しかし、この一過性脳虚血発作を放置すれば、2030%の方は数年以内に脳梗塞を発病すると言われます。また、脳梗塞を起こした人の1/3が一過性脳虚血発作を経験し、約20%の人がその1ヶ月以内に、半数が半年以内に脳梗塞を発症するとも言われます。本格的な脳梗塞を未然に防ぐことが大切なのですが、発作が短時間で終わり、その後、何もないような状態が長く続くと、ついつい油断をしてしまいがちになります。症状が消えてしまったからと言って、安心できないことを覚えておいて下さい。どんな症状が起こるのかと言いますと、食事中に急にハシを落とした。ハシがうまく使えない。字がうまく書けない。茶碗を落としたりする。電車に乗っていて、急に足が動かなくなり、電車から降りられなくなった。まっすぐ歩いているつもりなのに、片側へ寄って行く。口から食べ物をボロボロとこぼす。ろれつ困難となり、うまくしゃべれない。片方の目が見えなくなる。特に片目だけ幕がおりるように見えなくなった。めまいが起こった。などと言う症状に注意して下さい。                                               

無症候性脳梗塞

知らないうちに、いつのまにか脳梗塞にかかってしまっている場合があります。このような、症状のない小さな脳梗塞を、無症候性脳梗塞、隠れ脳梗塞、微小脳梗塞などと言います。この隠れ脳梗塞が見つかってから数年以内に3割の人が再び脳梗塞の発作を起こすと言うデータもあるのです。この隠れ脳梗塞は、検査を行なうと40代の3人に1人、50代の2人に1人、60代の8割以上にみつかるとも言われるほど結構多いものです。このような脳梗塞を自分で発見できる方法が話題になっています。手は第二の脳とも呼ばれ、最も脳と密接に結びついている部分です。そこで脳の障害や老化、疲労などの状態の変化が手の運動に現れやすくなることから、手の動きを検査することによって、おおまかではありますが脳の異常を知ることができます。そのひとつが、「人差し指合わせ」検査です。まず、目を閉じて両手を左右の外側に、肩の高さまで上げます。このとき、一差し指だけをまっすぐに伸ばします。次に、開いた両手をゆっくり内側に回して、左右の人差し指を胸の前で合わせるようにします。ぴったり合ったと思うところで目を開けてみましょう。お互いの一指し指が5cm以上離れていたら要注意です。                               


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