山本クリニック新聞 17年お盆休み号

 私たちの脳は、自分の体の運動や姿勢の状態を、耳の中にある三半規管などからの信号、目からの視覚情報、手足、首などの筋肉や関節からの位置に関する情報などを元に逐一、正確に判断しています。ところが、そのうちのどこかに不具合が起こり、そこから異常な誤った情報が脳に伝えられた場合、それは、ほかのところからくる情報と、うまく一致しません。このような運動や姿勢に関する情報のアンバランス(不一致)があると、脳は、一瞬、自分の体の運動や姿勢の状態が分からなくなってしまいます。この際に、「めまい」を自覚することになります。つまり、めまいとは自分の体の位置や運動を誤って感じた際に起こる症状なのです。                                

めまいには大きく分けて2つのタイプあります。ひとつは「回転性めまい」で、目の前や自分自身がぐるぐる回っているように感じるものです。もうひとつは「浮動性めまい」で、フラフラして真っ直ぐ歩けない、雲の上を歩いているような感じがするというものです。めまいの原因には大きく分けて2つのタイプがあり、平衡感覚を司る三半規管や前庭の病気で起こる「耳が原因」のタイプと、体のバランスを制御する「脳が原因」のタイプとがあります。そのため、病気が耳にあるのか、脳にあるのかを十分に検査して調べる必要があります。一般に「耳からのめまい」は回転性であることが多く、「脳からのめまい」は浮動性であることが多いのですが、脳の異常でも、急激に起こった場合、それに伴って起こるめまいは回転性であることもしばしばです。結局、心配なめまいとは?もちろん脳が原因で起こるもので、めまいと同時に「手足に力が入らない」、「手足がしびれる」、「ろれつが回らない」、「頭痛がする」、「意識を失う」などの症状がある時は、恐い脳卒中からくるめまい、なかでも脳梗塞を疑う必要があります。                                                                     

 

夏は汗をかいて、血液中の水分が不足し、血液がドロドロとした状態になりやすいのです。また、暑さのせいで、血管がひらいて血圧が低下しやすいことも加わって、いっそう、血液の流れが悪くなりやすいことから、夏は脳梗塞にかかる人が増える季節です。常に、「水分補給」に心がけて、脳梗塞を予防することが大切です。                                                       

ところで、脳梗塞を起こした方の、かなりの方が朝、起きた時に症状を自覚しています。めまいを起こす原因には、いくつもの病気がありますが、朝、目が覚めた時に、「めまい」が起こった時、あるいはフラツキが起こったような時は、そのなかでも脳梗塞を疑う必要があります。脳の中の椎骨脳底動脈(ついこつのうていどうみゃく)という血管の領域で、血液の流れが悪くなるとめまいが起こります。この椎骨脳底動脈領域に脳梗塞が起こった時は、進行性卒中と言って、何日もかけて症状が悪くなってくることがあります。そこで、最初に起こった症状が軽いからと言って油断できません。                                                                      

椎骨脳底動脈で血液の流れが悪くなると、めまい以外に、急にフーとなって倒れそうになる、急に目の前が暗くなる、立ち上がって血圧が下がった時にフーとなる、頭を動かした時にクラクラしたり、フーとなったりすると言った症状が起こりやすいので、このような症状には注意が必要です。                                                                           

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